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アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とはかゆみを伴う湿疹のことです。よくなったり悪くなったりを、慢性的にくり返します。
皮膚のバリア機能低下や皮膚の炎症によって、外から入ったアレルゲンが免疫細胞と結びき、炎症を引き起こしている状態が、アトピー性皮膚炎です。
肌が乾燥すると、刺激を感知する神経が肌表面にまで伸びてきます。そのため、外部からの刺激に対して、かゆみを感じやすくなります。掻いてしまうと、さらにバリア機能が低下してしまいます。アトピー性皮膚炎のかゆみは強いものですが、掻かないことが非常に大切です。
アトピー性皮膚炎の原因
アトピー素因によるアレルギー炎症
アトピー性皮膚炎の方は、アトピー素因を持っています。アトピー素因とは、アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・気管支ぜんそく・結膜炎のいずれか、複数にかかったことがある家族がいることを指します。
そもそも炎症とは、体内に侵入した異物や有害な刺激を免疫が取り除こうとする反応です。アトピー性皮膚炎の場合、本来防御する必要のないものに対しても、過剰に反応して炎症を起こしているため、免疫異常の状態になっている状態です。
皮膚のバリア機能低下
アトピー性皮膚炎は、表面の皮脂膜・その下にある角質細胞・角質細胞間脂質などの皮膚のバリア機能が弱まり、異物が外部から皮膚に入りこみやすい状態になっていることでも起こります。
体質的に皮膚のバリア機能が弱い方もいますが、皮膚を掻いたり、刺激の強い石けんを使ったり、紫外線を浴びたりすることによっても低下していきます。
アトピー性皮膚炎の場合、とくに角質細胞間脂質が減り、皮膚が乾燥しがちです。乾燥したまま肌を放っておくと、さらにかゆみが悪化し、掻いてしまい、また皮膚のバリア機能が低下するという悪循環となってしまうことがあります。
アトピー性皮膚炎の治療法
塗り薬
アトピー性皮膚炎の治療の基本となるのは、ステロイド外用薬です。
ステロイドとは、人間の副腎という臓器でつくられるホルモンの1種で、体内の炎症や免疫力を抑える働きを持ちます。薬剤の強さによって5段階に分かれており、重症度や塗る部位によって選びます。
また、非ステロイド系抗炎症外用薬と組み合わせて治療を進めます。
- ステロイド外用薬
- タクロリムス水和物軟膏
- デルゴシチニブ軟膏
- ジファミラスト軟膏
など
内服薬
重症化している場合は、かゆみを抑える補助療法として、免疫抑制機能を持つ抗アレルギー薬を処方することがあります。
- 経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
など
注射薬
強い炎症を起こし、全身に広がっているアトピー性皮膚炎の方には、皮疹やかゆみの原因を抑える注射薬を用いることがあります。
- ヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体注射
- ヒト化抗ヒトIL-31受容体Aモノクローナル抗体注射
など
光線治療
ステロイド外用薬などで改善しない場合、紫外線の免疫抑制作用によって症状を沈静化させる「エキシマライト」という機器を使用して光線治療をします。
紫外線のUVBのなかでも波長領域が308nmの紫外線は、さまざまな皮膚疾患において治療効果が高いとされています。
アトピー性皮膚炎の悪化予防法
入浴方法を工夫する
アトピー性皮膚炎は、できるだけ掻かずに悪化させないことが大切です。日々の入浴方法を工夫することで悪化を予防することができます。
- 入浴の回数を少なくする
- 通常の石けんを使用せず、低刺激や弱酸性の石けん代用品などを使用する
- 湯船のお湯の温度を、ぬるめに設定する
- 入浴後は、ポンポンと軽く叩いて乾かす
- まだ皮膚が湿っているうちに保湿剤、軟膏、クリームを塗る
疲労やストレスを軽減する
アトピー性皮膚炎は、疲労やストレスによって悪化します。生活リズムを整え、睡眠不足にならないよう心がけましょう。また、精神的ストレスのたまらない生活環境をつくることが重要です。